藤村矯正歯科医院

院長:藤村芳博
〒359-1111 埼玉県所沢市緑町2-6-15 第2KIビル3F
Phone:04-2928-7022  Fax:04-2924-0203 URL:http://www.fujimura-kyousei.com/

― 子供の患者さんが多いのでしょうか

僕がこの場所を選んだのは、都心よりは子供が多いから。でも少子化が進んでいるので数はどんどん減っています。一般歯科で矯正治療を扱うところも増えてきて、専門でやる意義を問われますね。

最近では早く治療を始めれば早く治るという間違った情報が流れています。例えばまだ治療を開始しなくてもよいと判断される子供の患者さんが来院すると僕はまだやらなくていいよ、しかし経過を観察するので何ヶ月後に来てくださいと言う。第二大臼歯(12歳臼歯)の咬合をふくめた永久歯列まで診るのが僕のフィニッシュ。つまり、終わる時期が決まっているので、そこを目標になんとか短い期間で治療をしようとするんですね。 しかし、患者さん側からすると、治したくて矯正歯科に行くのに、そこでまだ早いと言われると、すぐに治療を開始してくれる小児歯科などに行ってしまうケースがあります。全部がそうだとは言いませんが、出来るようなことを言いながらだらだら長期間治療をするのは間違っている。診断の時にここまで治ります、開始時期はいついつですと言い、実際にその期間でそこまで治すというのが専門医の務めだと思っています。

榎恵先生という僕が学生の頃からとても尊敬している教授の有名な論文に『いつ、なにを、なぜ』というのがあるんですが、なぜこの時期にこの治療を始めるかということを明確にして治療をするということが重要なことです。

― 患者さんへの接し方や治療の進め方などでのこだわりはありますか

治療に関して自分なりのこだわりがあります。こうじゃなきゃいけないというね。しかし患者さんのためにやっている治療だということが一番大事なことで、患者さんの意志を押さえつけてまでやろうとは思わない。

普通の医療というのは痛みをとったり、動かなくなったものを動かしたりというものですが、矯正というのは、何ともないのに痛みを与える治療。目標は高く設定しますが、患者さんが辛いだろうなあと感じた時には、治療の仕上がりが僕の許容範囲の中に入っていて、患者さんが納得してくれる状態になっていたら治療を終える場合もあります。

今まで何百人、何千人と患者さんを診てきた中で、続かない患者さんっているんですね。痛いのが嫌、装置をつけるのが格好悪い、学校のクラブ活動が大変とかね、理由はいろいろありますが。しかしじゃあ仕方がないからやめましょうとは僕は言わない。自分のためになることだと患者さんが自分で気付くまで待ちます。やる気になったらいつでも戻ってきてくださいと言ってね。

接し方へのこだわりというのは、怒らないようにするということですね。できない?何が大変?もう疲れた?って聞いて。患者さんのための矯正だということを一生懸命考えてやっているつもりです。

― 抜歯・非抜歯についてのお考えを教えてください

歯が並ぶということはどういうことか。ただ歯が並んだだけでは僕のゴールでなく、噛み合わせや口元の調和などあらゆる点が改善された時にゴールとなる、つまり前述の仕上がりにおける僕の許容範囲に入るために抜歯が必要な場合は抜歯します。あくまでも抜歯・非抜歯というのは治療のゴールに到達するための手段であって目的ではない。非抜歯を目的にした治療なんていうのはとんでもない話です。

非抜歯治療をするところでは、歯のアーチを拡大するんです。しかし拡大するということは、戻る、ということ。単純に言えば、歯というのは並びがデコボコでも外側から頬や唇の筋肉、内側から舌の筋肉に囲まれて安定している訳です。安定を壊して拡大したら、当然外側からの圧力が増して、戻ろうとする力がかかる。すると歯茎の中にある骨が薄くなっていって増齢するごとに危険が増しますね。

以前フィンランドに行ったのですが、あの国では子供達に検診を受けさせて虫歯になりそうな歯は徹底的に予防し、絶対に虫歯にさせないようにする。そして並びがデコボコだったりすると、呼ばれて矯正治療される。子供達の矯正治療は無料なんです。社会保障になっているので、虫歯になってからの医療費よりも予防する費用の方が安いからなんですね。

僕は保健センターの矯正科に勉強しに行ったんですが、あらゆる症例を抜歯せずに治療するのを見ました。なぜそんなことができるのか。骨格が日本人とは全然違うからです。歯の大きさも顎の大きさも違う。拡大するスペースがあるんですね。僕が診ても抜歯をしなければならないと思うケースはほとんどない。4番(第一小臼歯)を抜く治療はいけないという論文もあるほどです。非抜歯治療をする医師達はその論文を持ってきて抜歯はいけないと言うんです。それは根本から間違っている話ですね。