歯科矯正クイン
― 一般歯科医でなく矯正歯科医になろうと思った理由を教えてください
私の家族には歯科関係者が多く、特に姉は小児歯科が専門でしたので妹が歯学部を卒業したら矯正科にしようと思っていたようです。歯並びを整える重要性に早くから気付いていたんだと思います。私も一般歯科の仕事は好きでしたし興味もありましたが、矯正治療は歯を整えることで、歯並びだけでなく顔貌も変えて綺麗にするという治療ですから。私はそこにとても興味があったので、迷わず矯正学教室に入局することに決めました。
― 女性の先生が少ないのはどうしてでしょう
医局にいた頃は、小児歯科や矯正の分野に女性は沢山いました。とても華やかだったイメージがありますが、確かに開業されていらっしゃる先生の数は少ないですね。
矯正というのは、一人の患者さんに対して長期に亘った治療が必要です。成人の方でも保定まで入れると3〜4年はかかります。子供さんであれば乳歯から永久歯列まで見なければなりませんので、本当に長い期間患者さんと係わることになります。矯正治療は続けて治療していないと自分が治療したことにはなりません。また、開業するためにはそれなりの症例数をこなし、実績を証明できる形にしていかないといけないのです。どんな職業でも同じかもしれませんが、女性の場合、結婚や出産など、一生のうちで仕事に区切りをつけないといけない時期があると思うんです。続けていくには精神的にも肉体的にも大変な職業であると実感しています。
― 櫻庭先生が女性としての分岐点に立った時に矯正を選んできたのは何故ですか
やっぱり矯正が好きだからです。矯正というのは、最初から最後まで自分で責任を持って治療をしなければいけない。ここの部分は誰かに委ねてやってもらうというところがないので、気を抜けない、厳しい仕事だと思います。
矯正の技術、特にスタンダードエッジワイズ法は細かくて、自分で全部手作業でワイヤーを曲げていかなくてはならないんですが、そういう細かい作業がとても好き。それで手をかければかけただけ、患者さんの治療後の咬合状態や顔貌がいい状態になって、美人度に違いが出る。もちろん患者さんも喜んでくれるし、私も本当によかったと思えるんです。できるうちはずっと矯正を続けていきたいなと思っています。