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    [165] 9歳の娘抜歯?非抜歯・?-

    ■親質問/質問引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ まつもと -(2001/04/14(Sat) 11:47:46)
    □U R L/

       はじめまして。小学4年の娘ですが、2年生の中頃から矯正治療に通っております。 

      診断は、叢生と上顎前突ということで 歯列拡大の為の装置を1年入れた後 
      半年前からその後の治療についての選択をするように言われています。
       (今の歯の状態は、上が 6歳臼歯の前の歯だけ乳歯で それより前が永久歯に生え変  わってきています。前歯が大きく少し重なりがあり八重歯になっています。
        下の歯はすべて永久歯で重なりはほとんどありません)

      1.抜歯をせずに歯列を並べる
       (この場合こちらの希望である口元を下げることは無理で今と変わらない)

      2.上下4本の小臼歯を抜歯する
       (この場合理想の口元に下げることが出来子供の負担も少ない ヘッドギア等を使わな くてすむ)
       のどちらにするかで いまだに悩んでいます。  

      どちらにしても、治療を進めていくということで、先日 ブリッジ装着のための準備として上下奥歯にワッカをつけました。夏休みに装着予定です。

       そこで相談なんですが、1.の場合やはり口元は今より下がらないのでしょうか?
      これから、顎や骨、顔や頭の大きさも変化して行くことを考えると 多少、口元が出ていても気にならなくなるのでは?
       
      2.の場合、4本の抜歯によって噛む力や噛み合わせは大丈夫でしょうか?
      (担当の先生は抜歯してもしなくてもその点は同じで大丈夫とのこと)

      また、抜歯する時期は今がいいのでしょうか?(まだ、生えたばかりなので抵抗があるのですが・・・)

       ちなみに 下の歯は、ほとんど重なりが無いので上の歯2本だけの抜歯では?
      と相談した所、噛み合わせの問題があるので それなら、
      3.上の6歳臼歯を2本抜いて(その場合はすぐではなく何年か先)
        下は、親知らずを2本抜くという方法もある(この方法なら、口元を1.と2.の間  ぐらいに下げられる)
        と、言われましたがこの方法はどう思われますか?
       1.か2.で考えていたので ますます混乱しているところです。
              
      担当の先生は、それでも決められない場合は、しばらくヘッドギアを使うとおっしゃっていますが、今の状況で最良の方法をアドバイスしていただければと思います。
      よろしくお願いします。









    [166] Re[1]: 9歳の娘抜歯?非抜歯・?考えてしまいますね!-

    質問引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック -(2001/04/16(Mon) 10:58:24)
    □U R L/ http://www.koishikawa.com

      <現在の状況とその処置に関連する事柄?あくまでも推測>
       小学校4年、女児、叢生+上顎前突、歯列の拡大のための装置を使用、現在にいたる。
       現在の処置は
      (1)叢生の量を軽減するためが主と考えられます。この処置は多くの場合、側方への歯列の拡大を目的として行われますが、歯列が拡大されますと下顎の歯列は少し顎を前方に位置させてかみ合うような傾向を示します。むろん上顎の歯列が拡大されるとその変化に同調して下顎の歯列も多少側方へ拡大されるとの論文もありますが量的にはわずかです。上のみの歯列の拡大ではやはり下顎は本来の位置よりも少し前方に顎を動かし、かみ合う傾向はあるようです。
       このような処置による成長発育中の変化は時として、
      (2)歯列を拡大することに関連して下顎骨の前方への成長が促され、下顎骨の前方成長能力が少し惹起されることがあります。そうなりますと上顎骨に対する下顎骨の前後的な位置は改善されますが、上顎前突症から、上下顎前突症といような口元の突出感が増悪化されることにもなりかねません。
       従って、現在の担当医は、活発な成長の能力を考え、これからの治療について説明を行う時期と判断されたのでしょう。賢明だと思います。

      <提示された治療計画について>
       抜歯、非抜歯での治療、またその中間案としての上顎6歳臼歯(第一大臼歯、6番)と下の親知らず(知歯ちし、8番)の抜歯、とのことですが、多くの矯正医はまつもとさんがはじめにお話された1と2のことを提示されるのではないかと思います。3番目の案については考え方としては成り立ちますが一般的ではありません。先生もご苦労されて考えたのでしょうね。
       さて、文面から、これから顔の成長発育が活発になり顎も変化するのであろうから今の時期に判断するのではなく、もう少し経ってから判断してもよいのではないか?ととれる悩みをしているようですが、私も迷っているなら少し待ってもよいのではないかと思います。顔が変わる活発な成長変化が生じる平均的な時期は女児では小学校5年ぐらいから中学校1年ぐらいです(男児では1年遅れです)。この間に顔、特に下顎骨の成長変化を観察し抜歯を伴わない矯正治療計画が選択できれば幸いです。このことに関連して、私自身お子さんの状況を把握しておりませんので何ともいえませんが、親御さんの考え方としては誤りではありませんので心配ならばこの時期での抜歯か?被抜歯か?の選択は様子をみたい旨、先生にお話し対応されたらいかがでしょうか。

      <質問に対するアドバイスのまとめ:あくまでも推測>
      1.抜歯をしないで処置:口元の突出感の改善はあまり期待できないと思います。
      2.抜歯処置によるかみ合わせ機能の低下の可能性:近年の研究結果、論文を見ますと抜歯、非抜歯処置による明確な差の報告はほとんど見当たりません。
      3.抜歯の時期:永久歯での治療をいつ頃から開始するかにより、また叢生の状態により決めることが多く、また先生の考え方にもよります。抜歯について不安であるならば、その旨、先生に伝え少し待ってもよいかもしれません。手遅れといような自体にはならないと思いますが?。
      4.今の状況で最良の方法のアドバイスを:診ていないので、やはりこれは難しいです。安易なアドバイスはできません。すみません。先生の治療内容、計画の話を聞き、親御さんや本人が(年齢的に難しさはあるものの)納得し、その状態で治療を受けるのがよい方法ではないかと考えます。最善という言葉を使うとしたらやはり診察しないと何ともいえません。また最善というのはひとつだけでなく複数存在することもありますのでこのような場合には、結果として選択した方法を最善と考えることも必要かなと思います。

      <参考>
       活発な成長発育中の上顎前突の治療に対しては、その成り立ち方により治療計画はことなります。
      1.上顎骨が過成長(かせいちょう、大きい成長能力)で上顎前突が生じた場合は、積極的に上顎骨の前方への成長発育能力を抑制するような処置を考えます。使用装置の代表はまつもとさんが最後に書いたようなヘッドギアーと呼ばれるものが多く使われます。
      2.一方、下顎骨の成長発育能力が弱く(劣成長れつせいちょう)その結果、上顎骨の前突が目立った上顎前突症ではむしろ下顎骨の前方への成長の能力を促し、改善するようなことも考えます。咬合斜面板(こうごうしゃめんばん)などはその代表例の装置です。
      3.1.2.の組み合わさった状況による上顎前突(上顎の過成長+下顎の劣成長)。このような場合には1.2.の治療法の組み合わせとなります。
       このように現れた異常が<上顎前突>という一つの言葉であらわされても、その症状の成り立ちにより使用する装置、方法もことなります。このあたりの説明をよく聞かれたらいかがでしょうか?。

      <用語>
      1.ブリッジーーーブラケット(ここの歯につけ、ワイヤーをそのものに結び付ける基本の装置、装置全体を通称マルチブラケット装置という)
      2.ワッカーーーバンド(たぶん金属のワッカのようなもの)、今ワッカをつけるということは、ヘッドギアーをつけて頂く予定かも知れませんね。

      では長くなりましたが、また何かあればどうぞ。




    [170] Re[1]: 9歳の娘抜歯?非抜歯・?考えてしまいますね!-

    質問引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ まつもと -(2001/04/18(Wed) 17:51:09)
    □U R L/

      お忙しい中、詳しくお答え下さってありがとうございました。
      とても参考になりました。

       昨日、ちょうど診察日だったのでまだ迷っていることを伝えたところ やはり、しばらくヘッドギアーを使うとのこと。
      昨日は、先生もお忙しそうだったので他の話はできませんでした。
       (これから様子を見ながらやはり 1、抜歯をしないで並べる 2、小臼歯4本の抜歯
       のどちらかに決めたいと思います)

      そこでまた質問なんですが、うちの娘のような場合(叢生と上顎前突<参考>として書いていただいた1、上顎骨の過成長です。)

      1、の非抜歯では歯はどこへ動かして行くのでしょうか?
       ◎横や前に出してくる?
        その為口元が下がらない?(うちの娘は、上の前歯がとても大きくて真中2本が少し  前に出て目立ちます。犬歯も左右八重歯です。
        寝ているときも少し唇から2本見えている状態です。1、で治療した場合それはなく  なるのでしょうか?  

       ◎1番後ろの歯(6歳臼歯)の後方へ移動させる?
        その場合12歳臼歯はまっすぐ出てくるのでしょうか?

      2、の場合なら抜歯したスペースへ移動させて行くと思うのですが・・・。

       それと、抜歯をするとしたら まだ生えかけの今と1年後とでは痛さなど違ってきます か?また、歯の動かしやすさはどうでしょう?

       娘も、口元が下げられて大きな前歯も目立たなくなるのなら4本抜歯でも良いかな? 
       に考えが傾いてきています。

      担当の先生に聞けば良いことなのに、診ていただいていない小石川先生にお聞きするのは申し訳ないのですが、答えていただける範囲で結構ですのでどうぞよろしくお願いします。











    [171] Re[2]: 9歳の娘抜歯?非抜歯・?再度の相談いいですよ-

    質問引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック -(2001/04/19(Thu) 10:08:20)
    □U R L/ http://www.koishikawa.com

      <上顎骨の過成長による上顎前突の治療を考えてみる>
       上顎前突の成り立ちが、上顎骨の過成長だということですので、年齢的にみて上顎骨の過成長の力を抑制していく、あるいは前方に成長する力を抑制することは適切なことと思います。
       非抜歯による治療計画を立てるとしますとまつもとさんが心配するような、あるいは疑問に思うようなことは当然出てきます。

      (1)非抜歯で行う場合、歯はどこへ動かすのか?(方向や量は?)
      非抜歯の場合、通常は上の現在の最後方歯(第一大臼歯、6番、6歳臼歯)を後方に移動させることが考えられます。この処置は(a)歯の生える隙間が足りない,(b)少しでも前歯の前突感(口元の突出感)を軽減したい、ということが主たる目的となります。従って、どのくらいの量、第一大臼歯を移動するかといえば、現在ある(問題となっている)叢生量を改善するだけの量的移動となるわけです。足りない量がわかりませんので、先生には何mmぐらいいどうするのですか?と聞けば、あーそのくらいの量かと理解できるでしょう。
       この場合、心配なのが第一大臼歯の後ろから生えてくる、第二大臼歯(12歳臼歯)、第三大臼歯(親知らず)への影響?。あまり大量に第一大臼歯を後方に移動してしまうと、第二、第三大臼歯の生える隙間がなくなってしまい横の方向や、2階家みたいに上下に重なってしまうのではないかという心配です。考え方としては、その通りです。従って現在の第一大臼歯をどのくらいの量、後方に移動するかの判断は難しくなります。大量に後方移動する場合には第三大臼歯(中には第二大臼歯)の早期の抜歯を行うことはあります(このような場合、歯肉やその下の骨を切除し第三大臼歯を除去することはあります、小手術)。どのくらい現在の第一大臼歯を後方にさげる(移動する)計画なのかを知っておきたいですし、また第二、第三大臼歯の将来的な処置についても尋ねておくとよいのではないかと思われます。
      (2)非抜歯での治療はそんなに大変なのか?
       非抜歯治療を計画する場合、あるいは判断する場合、次の項目をチェックし、総合的に判断します。
       a.歯がきれいに整然と配列するのに必要とされる隙間(スペース)の量
       b.上下のかみ合わせが前後的に正常でない量。
      判定基準は上下の第一大臼歯の正常な咬み合いが行われる場所に対しどのくらいの前後的なズレがあるかの量。お子さんの場合、下の第一大臼歯の位置が正常だとすれば、上の第一大臼歯(ヘッドギアーをつける予定の歯)を後方に何mmぐらい移動するかが、叢生の量の改善とは別に計画されることになります。
       c.上の前歯の歯の傾きに対する改善量
       上下の前歯の傾き度(傾斜角)にも、ある基準があります。一般的に上顎前突等の症状では上の前歯は唇側に過度の(正常でない)傾きが見られます。例えばその傾きを5度、後方に傾くようにしたいと思いますと、その処置だけでも叢生量が増悪化されます(2.5度の傾きの改善は叢生の量=きゅうくつさを1mm増すといわれています)。ようはさらに叢生量が増すということです。
       d.感覚的な要素を含む、口元の突出感の改善量
       上記のa.b.c.のチェック項目に加え、さらに口元を下げたいと思うと正常にかみ合う咬合状態であっても、をさらに後方に移動することを計画しなければなりません。このあたりまでくると専門的な説明を詳しく要するため文字での説明には限界を感じますので止めておきます。

       いいたいことは、お子さんの症状を総合的に解決するためには、単純に何mmぐらい歯を後方に移動すればよいという説明では足りないというこです。このあたりをよく先生に話を聞いてみて下さい。

      (3)それでも、もしかしたら非抜歯治療で行なえるかも知れないという理由?
       実は、何mm足りないかという単純な計算とは別に、この時期での治療を受ける重要な意味あいは、先に話しましたように顔(特に下顎)が活発なからだの成長発育とともに大量に変化するからです。例えば、上顎の前方に発育する成分をヘッドギアーなどで抑制し、逆に少し下顎が前方に成長し、さらに鼻の高さが増すような成長、オトガイ部(下顎の前方の部分、詳しくは辞書で)の前方への成長が出現してくるようであれば、歯の移動だけで口元の突出感を軽減するということよりは、これらの複合的な変化で口元の突出は変化することが予測されます。このような総合的な変化がどのように出現するかは、これからのお子さんの成長発育の能力と矯正治療による処置の組み合わせの結果に期待するしかありません。その意味ではヘッドギアーなどの処置は有効といわれています。
       抜歯するか否かは、このような理由から姑く様子をみてから決められた方がよいでしょう。

       抜歯をする時期についても、今ということでなく必要と判断された時期が最もよいと判断される方がよいでしょう。さらに抜歯時期が1、2年ずれても歯の移動速度、痛みなどには差異は見られないと思います。ただし、中学生の抜歯と成人期での抜歯による移動速度は異なる傾向は見られます(成人期での方が歯の移動速度は遅くなりがちです)。

      <おわりに>
       親が子供のことを心配するのは当たり前です。担当の先生に質問し話す機会を多く持ちましょう。心配があればどうぞ。お子さんの明るく爽やかなほほえみを。




    [172] Re[3]: 9歳の娘抜歯?非抜歯・?再度の相談いいですよ-

    質問引用/メール受信=OFF■

    □投稿者/ まつもと -(2001/04/20(Fri) 11:54:04)
    □U R L/

      早速のお答え感謝致します。

       これからは担当の先生に積極的に質問して、納得のいく方法に決めたいと思います。
      また、相談にのっていただくことがあるかもしれませんがその節はどうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。


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