治療費について

保険治療―保険が適用される治療

保険が適用される矯正治療とは?

以下の症状を治療する際に必要な矯正治療には、保険が適用されます。

  • 口唇裂:生まれた時に唇が左右に分かれている症状。
  • 口蓋裂:生まれた時に鼻と口が分かれていない症状。
  • 第一・第二鰓弓症候群:生まれつきの顔面非対称で、左右の顎の成長速度が異なったり、耳の低形成などが主な症状。
  • 鎖骨頭蓋異骨症:頭蓋骨と鎖骨の形成不全または欠如している症状。矯正歯科では主に多数の埋伏歯および過剰歯の治療。
  • Crouzon症候群:頭蓋顔面異骨症のひとつで、上顎の劣成長がある。矯正歯科では上顎を前方に成長させるよう治療する。
  • Treacher−Collins症候群:下顎顔面異骨症で、下顎の低形成が症状。矯正治療では下顎を前方に移動させる。
  • Pierre-Robin症候群:下顎の発育不全。矯正治療ではかみ合わせを考慮しながら下顎を前方に移動させる。
  • Down症候群:下顎前突になりやすいためそれらを改善治療。
  • Bechwith-Wiedemann 症候群:過成長、巨舌、臍帯ヘルニアなど臓器肥大が主な症状。舌が大きいため、開咬や下顎前突になりやすい。
  • Russel-Silver症候群:矯正歯科では上下顎骨が小さいこと、左右非対称の顔貌を改善。
  • Turner症候群:顎が小さいことが症状のひとつ。上下顎の骨の成長を観察しながら、歯並びやかみ合わせを治療。
  • 尖頭合指症:頭蓋骨が通常より早く癒合してしまう等が主な症状。矯正歯科では上顎骨の劣成長による受け口を治療。
  • 顎変形症:極度の下顎前突や上下左右に顎がずれている症状。

*ただし、保険の適用は、認可された医療機関(育成更生医療指定機関、顎口腔機能診断施設)での治療に限られます。

育成更生医療指定機関とは?

育成更生医療指定機関とは、更生育成医療の給付が受けられる医療機関です。18歳未満の児童は育成医療機関での受診、18歳以上の成人は更生医療機関での受診となります。

育成更生医療指定機関の条件

  • 更生育成医療を行うために必要な設備および体制を有している
  • それぞれの医療の種類における専門科目について、適切な医療機関における研究従事年数が(歯科では)5年以上である
  • 研究態様と口蓋裂の矯正歯科の臨床内容とに関連が認められる
  • 矯正歯科を標榜している
  • 関係学会(日本矯正歯科学会および日本口蓋裂学会)に加入している

育成医療制度とは?

公費負担医療制度の中の1つで、健康保険の自己負担分を国や地方自治体が補助する制度です。 適用となる年齢は18歳未満の児童で、口唇裂・口蓋裂の手術を行った時の医療費の健康保険の対象分と矯正歯科治療に対して適用されます。自治体から指定される徴収金(自己負担分)は患者の家庭の所得状況によって異なります。申請は居住地の所轄保健所窓口で以下の用紙を受け取り、必要事項を記入してし、保健所に提出すると、育成医療券が交付されます。

  • 育成医療給付申請書(申請者記入)
  • 育成医療意見書(指定医療機関の医師に記入してもらう)
  • 世帯調書(申請者記入)
  • 所得証明書(源泉徴収票もしくは納税証明書など)

更生医療制度とは?

内容は育成医療とほぼ同じですが、申請の窓口が、居住地の福祉事務所です。更生医療制度の対象者は、身体障害者手帳を持っている18歳以上の人です。 身体障害者手帳を取得するには以下の手続きが必要です。

  • 所轄の福祉事務所または市町村役場の福祉課で各種書類を受け取る。
  • 上記の書類のうち「歯科医師(指定を受けた歯科医師のみ)の意見書」を書いてもらう。
  • 耳鼻科の医師の診断書を作成。
  • 写真を添えて福祉事務所に書類を提出。
  • 身体障害者手帳交付

顎口腔機能診断施設とは?

顎口腔機能診断施設基準に適合している診療機関のことで、外科的矯正治療を併用する顎変形症の術前術後矯正治療に保険が適用されます。

顎口腔機能診断施設基準

  • 身体障害者福祉法第19条の2第1項の規定により厚生大臣又は都道府県知事が指定した医療機関である。但し、更生医療として矯正歯科に関する医療を担当しているものに限る。
  • 当該療養を行うために必要な次に掲げる基準、(1)下顎運動検査又は舌接触運動検査のいずれか一方と咀嚼筋筋電図検査が行える機器を備えている、(2)専任の常勤歯科医師及び専従する常勤看護婦又は歯科衛生士がそれぞれ1名以上勤務している、を満たしている。
  • 当該療養につき口腔に関する医療を担当する診療科または別の保険医療機関と矯正歯科に関する医療を担当する診療科との間の連携体制が整備されている。